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【お題】
・山羊座 ・サラマンダー ・「犯人はこの中にいる!」 なんだかどうでもいい、あほな話。 サラマンダーというものをご存じだろうか。 火トカゲなどとも呼ばれる、四大精霊の一つだ。本性はトカゲの姿をしているが、人間のようにも化けることができる。そう、今の私のように。 炎の中に住んでいて、基本は単独行動、他の四大精霊たちのように群れることはあまりない。世間への関心も薄い。 私たちがどれだけ他者への関心が薄いか、よくわかる事例がある。今思い出した。 それはある魔女の話だが、彼女は祖父がサラマンダーであり、幼い頃は彼の下で育てられもした。 しかしどうしたことか、彼女は若干十三歳にして彼の許を離れ、一人暮らしを始めてしまった。 周囲の大人たちが何故かと問いかけると、彼女はこう言った。 「だってじい様、あたしの性格も好きな食べ物も、はては名前すらも覚えてくれないんだもん!」 まあ、これは私の友人の話なのだが、彼は決して年老いてぼけているわけではない。サラマンダーの中ではまだ若い部類に入る。 しかしこれがサラマンダーというものなのだ、わかるかね青年。 長い話を終え、ようやく私は目の前の自称探偵に視線を向けた。 「したがって、君の「俺の彼女を誘惑して奪った犯人はこの中にいる!」という主張は大変見当違いなのだよ」 だってこの部屋には彼以外サラマンダーしかいないのだから。 「そんなはずはない! だって彼女はサラマンダーの男と消えたという話なのだぞ!」 「誰が言ってた?」 「近所の洗濯屋のおばさんだ!」 「それってサラマンダーじゃなくて、火竜のことじゃない? よく間違われるよね、俺ら」 「そうそう、火のトカゲ類なんだから同じだろって。精霊と魔族で、種族からして全然違うんだけどね」 「つかそれって、カノジョにフラれただけじゃね?」 「!!!!!」 信じたくなかったのであろう真実を真っ向から指摘されて、青年はがくりとその場に崩れ落ちた。 「気づきたくなかったのか」 「哀れだね」 「可哀そうに」 「「「「「まあどうでもいいけど。」」」」」 そうして我々は打ちひしがれる青年をその場に残し、三々五々解散した。 ああそうだ、帰りに今月発売したばかりの占い本、ニーニーの『山羊座の世界』を買って帰らねば。 PR |
5~6月のお題
Lump様より「醒めぬ夢は君のため」 『恋する乙女の戦略X』の続編。 ギャグ。 「馬鹿者!!」 今日も今日とて、華胥国炎狼山州州庁監査室には、監査室長・高賀の怒鳴り声が響き渡っていた。 「ひゃいぃ!」 大声に体を跳ねさせたのは、彼をここまで怒らせている原因・部下である監査員の撫子だった。 「お前という者はいつもいつもいつもいつも、人の体を触ってきおって! そんなことをしている暇があるなら仕事をしろ!!」 「だってだって、室長の素敵な筋肉様が……っ」 「筋肉に様をつけるな、気色悪い!」 そこまで怒鳴って、ようやく高賀は一息ついた。長く重い溜息を吐き、目の前でびくびくと正座している部下を見下ろす。 「まったく……。お前も無理して筋肉好きを名乗らなくともよいのだぞ。もう知っているのだからな」 「ぎゃふん! 何故それを!」 撫子は勢いよく飛び退り、隣の部屋との間を仕切っている襖に、背中をぴったりとつけた。顔は真っ赤になったり真っ青になったり間で紫になったりと忙しい。 「…………この前居酒屋で耳にした」 自分に好意があるとはっきり耳にした時の衝撃と恥ずかしさも同時に思い出して、高賀は顔をあさっての方向に逸らした。 「まままさか室長、あの話を……!」 「聞いた」 「ジーザス!!」 (何故外国語?) 内心首を傾げながらも、もう一度筋肉好きを名乗らなくともよい、と念を押す。これ一つで自分の今後の人生が快適になるかそうでないかが変わってくるのだ。重要だ。 「……じゃあ私、もう本当の自分を出していいってことなんですね!」 「(本当の自分?)まあ、そうだな」 「うふふふふ……それじゃあ……」 撫子は高賀に抱きつき、その懐に手を突っ込んだ。 「失礼します!」 「なあっ!? お前、確か筋肉好きは面白いからと……」 肌の上を這う手指に冷や汗をかきながら彼女の腕を掴み、全力を持って動きを止める。 「おい……これはどういうことだ……」 全力で押さえているというのに、撫子の力は強く、気を抜くと押し切られてしまいそうだった。 「あっ、私筋肉フェチじゃなくて皮膚フェチだったんです!」 「はぁあああああああああああア?!」 以前、真正の変態だったらどうしようかと思っていたが、本当に本当に真正の変態だったらしい。 「えいっ」 「っ」 大声を出した隙をついて再び指が高賀の肌をまさぐり始める。 「はう……やっぱり室長のお肌すべすべでちょうどいいしっとり感……。やっぱりこれは室長のお腹じゃないと味わえない貴重なお肌ですねえ」 「やめっ……さわ……っ!」 撫子の手指が無遠慮に、しかし優しく触れてくるものだから、高賀の体は正直にも体を固くしたり跳ねさせたりと反応を返してしまう。女に主導権をすっかり握られてしまっているのがまた何とも情けない。 「室長、感じちゃってるんですか? かわいい……!」 「嬉しくない! 触るな!」 「本当のことを言うと、全身で室長のお肌を感じたいんですけど、ここで押し倒しちゃってもいいですか?」 「いいわけあるか! というか女がそんな言葉を口にするな!!」 恋する乙女の暴走Y 「ああ、何だか夢みたい! これって本当に現実? それとも私の妄想の世界じゃないかしら!?」 「俺も夢だと思いたい……夢であったらどんなにいいことか……」 現実という名の醒めない悪夢は、まるで撫子のために世界が回っているかのような錯覚を覚える。 「これは夢だ……性質(たち)の悪い夢なんだ……」 腹の上に頭を乗せて頬を摺り寄せている部下を無視しながら、ぶつぶつと呟く。 撫子という名の性質の悪い酔いから醒めたら、これが夢であることを祈ろう。 彼女は皮膚フェチ!(ガチ) |
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